キーワード・用語解説

代理母

子どもを望むカップルが、他の女性からの卵子の提供を受けたり、妊娠・出産を代替してもらうことが、生殖医療技術の進歩で可能になった。こうした生命誕生過程にかかわった第三者の女性を代理母という。人工授精や体外受精により、従来一人の女性の体内で行われていた排卵、受精、妊娠・出産の連続したメカニズムが分断され、この過程に配偶者以外の男女がかかわることが起こっている。この場合、子どもは、「育ての母」とは別に、「遺伝子の母」(卵子提供者)、「産みの母」(出産者)を同一人、あるいは別人として持つことになる。代理母としては、1)「遺伝子の母」および「産みの母」=依頼側の男性の精子を代理となる女性の子宮に注入(人工授精)する 2)「産みの母」=貸し腹。体外受精卵を代理となる女性の子宮に移植する 3)「遺伝子の母」=卵子のみ提供。体外受精卵は依頼側の女性の子宮に移植される、などの場合がある。血縁関係(親、兄弟姉妹など)による、あるいは営利目的による代理母の問題、さらには高齢の女性の卵子に若い女性の卵子の一部を注入した出産成功による2人の「遺伝子の母」の出現など、生命倫理面や親権、養育権や相続権など法律上からも課題が大きい。また生殖技術の進歩は不妊の女性に福音をもたらした一方、子を産むことへの社会的プレッシャーや「実の子」意識が、“泥沼”の不妊治療へと女性を追いやり、女性を心身ともに傷つけている側面も見落としてはならない。(1999.1)

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