キーワード・用語解説

高齢社会対策大綱

高齢社会対策大綱は、高齢社会対策基本法(1995年制定)に基いて政府が推進する高齢社会対策の中長期にわたる基本的かつ総合的な指針である。最初の大綱策定(1996年)から5年ぶりの大幅な見直しにより、2001年12月、新大綱が決定された。戦後生まれのいわゆる「団塊の世代」が高齢期に入ると、本格的な高齢社会を迎えることから、高齢社会対策の一層の推進を図るために、政府の基本姿勢の明確化と、分野別の枠を越えて横断的に取り組む課題を設定し、関連施策の総合的な推進を目的としたものである。基本姿勢として次の5つの項目──1)旧来の画一的な高齢者像の見直し 2)予防・準備の重視 3)地域社会の機能の活性化 4)男女共同参画の視点 5)医療・福祉、情報通信等に係る科学技術の活用──が挙げられた。また、横断的に取り組む課題として、1)多様なライフスタイルを可能にする高齢期の自立支援 2)年齢だけで高齢者を別扱いする制度、慣行等の見直し 3)世代間の連帯強化 4)地域社会への参画促進、が示された。“健康・経済面で恵まれない”というこれまでの画一的な高齢者像を見直し、高齢者がより主体的に参画できる社会づくりが掲げられたこと、そして「男女共同参画の視点」に立った施策の推進が盛り込まれたことは注目される。(2002.5)
 団塊世代が65歳に達し、さらなる高齢化社会が見込まれるため、11年ぶりに新しい大綱が閣議決定された(2012年9月24日)。「人生90年時代」を前提とし、全世代で支えあえる社会を構築するため、高齢者だけではなく、若年者や女性の就業向上等も推進する。初めて数値目標を設定し、2020年までに60~64歳の就業率を63%(2011年57.3%)に、25~44歳の女性就業率を73%(同年66.9%)に、第1子出産前後の女性の継続就業率を55%(2010年38%)に引き上げることなどを掲げている。(2013.1)
 2012年改正大綱の規定(5年後に見直し)に基づき、新しい大綱が閣議決定された(2018年2月16日)。基本的な考え方として、1.年齢区分でライフステージを画一化することを見直し、希望に応じて活躍できるエイジレス社会を目指すこと、2.地域の生活基盤を整備し、高齢期を安心で豊かに暮らせる地域コミュニティをつくること、3.サイバー空間等技術革新の成果を生かした新しい高齢社会対策を志向すること等が盛り込まれている。数値目標は、2020年までに60~64歳の就業率を67%(63.6%、2016年)、社会的な活動を行っている高齢者の割合を 80% (男性62.4%、女性55.0%、同年)に引き上げることや、限定地域での無人自動運転移動サービス全国普及(2025年目途)などを掲げている。(2018.9)

参考:高齢社会対策大綱(内閣府)

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