キーワード・用語解説

農業者年金

農業従事者が国民年金に上乗せして受給できる公的年金制度で、老後生活の安定を目的に1971年発足した。当初は農地の権利所有等が加入要件で、経営者でない女性は加入しにくかったが、2002年1月改定で「20歳以上60歳未満」「国民年金第1号被保険者」「年間60日以上農業に従事するもの」という3つを満たせば、誰でも加入できる制度となった。
 この年金は、通常加入の外に保険料が軽減される政策支援制度を設けている点に特徴がある。意欲ある農業の担い手を確保する目的で、認定農業者(農業経営改善計画を作成した経営者を市町村が認定する制度)等の要件を備えれば、基本保険料2万円のうち最高1万円まで段階的に国庫から補助される。配偶者や後継者も、認定農業者家族経営協定を結んだり、夫婦、親子で認定農業者に共同申請する等で政策支援の対象となる。
 農業者年金に加入する女性は1万人以上で、全体の11.4%(2010年)と年々増加している。政策支援制度を利用した新規加入者のうち、女性は14.9%(同年)で、家族経営協定を要件としたケースが9割以上だった。
 農村部では女性が実質的な担い手の場合も多い。生産から加工・販売までを手掛ける6次産業化は、女性の就労後を保障する年金加入を加速する。女性が安心して農業に取り組める環境整備として、農業者年金加入への支援は農業政策の要の1つとなっている。(2012.3)

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