QOL(クオリティ オブ ライフ)
「生活の質」「人生の質」「生命の質」と訳され、個人のもつ充足感、幸福感を表す概念である。経済優先政策の反動で人権・環境問題が露呈した1960年代のアメリカで、モノからヒト、量から質への政策転換を象徴するキーワードとなり、さまざまな領域で用いられるようになった。70~80年代には医療分野で患者主体の視点に立ちCURE(治療) からCARE(緩和支援) への必要性が提唱され、さらに延命治療か安楽死かを問う生命倫理の議論にも発展した。高齢者の能力発揮や自立した人生設計を課題とする老年学(ジェロントロジー) でも、QOL の視点から、身体・認知機能の低下を抱えながら高齢期をいかに過ごすかの研究が進んでいる。WHO 公表の世界の平均寿命(2015)は、女性73.8 歳、男性69.1歳で、いずれの国も女性の方が長寿である。今後は、性別に配慮した心理面・生活面の支援も、高齢者のQOL 向上の鍵となろう。(2016.9)
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