2007年度 人間関係力を育む子育て環境づくり支援事業 A・B・Cプログラム実施報告
Aプログラム: 子育て支援シンポジウム 2007 in青森
「関係づくりは子育て・子育ちのツボ」
開催日時:2007年8月24日(金)
午前の部 10:00〜12:00/午後の部 13:00〜15:30
会場:青森市男女共同参画プラザ AV多機能ホール
主催:日本女性学習財団/青森市男女共同参画プラザ(カダール)
- このシンポジウムは、本財団と青森市男女共同参画プラザとの共催で、青森市で開催しました。
人間関係が希薄になった地域社会において、かかわりの貧しさが子どもの成長に様々な影響を与え、子どもの育ちに対する危機感が募っています。豊かなかかわりを育む子育て環境づくりをめざして、子育て支援に最も必要とされる「関係づくりの視点」をテーマに実施しました。
- 午前の部の基調講演は、村中李衣さん(児童文学作家)に、「絵本の読みあい実践」を通しての関係づくりを語っていただきました。
- 午後の部のシンポジウムは、田代和美さん(大妻女子大学家政学部准教授 *コーディネーター)・岩川直樹さん(埼玉大学教育学部教授)・佐藤秀樹さん(こどものくに保育園(青森市)園長)・田中弘子さん(NPO法人 あおもりNPOサポートセンター理事長)・村中李衣さん(児童文学作家)の5人のシンポジストがそれぞれ関係づくりにまつわる体験談を披露しながら、「関係づくりの編みなおしとは」「関係づくりの視点を培うには」について、参加者と共に考えあいました。「勇気をもらった気がします。仲間や新しい人の出会いが宝です」「とにかくトライしてみよう。自分自身のためにできること・したいことを具体的に見つけ、何から始めたらよいのかが見えた」など、前向きな気持ちを綴った感想が多数寄せられました。
午前の部 「やわらかな関係づくり―絵本の読みあいから」
表情豊かに絵本の「読みあい」についてのエピソードを語る村中さん。会場全体が、絵本の世界に引き込まれ、温かな雰囲気に包まれました。
午後の部 「関係づくりを育む子育て支援とは」
関係づくりに関心をもったきっかけなど、5人のシンポジストの体験談は、子育て・子育ちの様々な場面での関係づくりをより具体的につかむ手がかりとなりました。参加者同士で感想を語り合ったり、シンポジストがフロアに下りて参加者と意見交換したり、双方向でのコミュニケーションも図られました。
参加者全員が、リボンをロープに結び、そのロープをハート型の池に見立て、真ん中にスタッフ手作りの鯉を泳がせたものをホワイトボードに飾りました。冊子では今の子どもの状況を「水のない池で泳がされている鯉」に例えて紹介しましたが、人にとっての水(かかわりの網の目)を満たすためには、人と人のつながりが必要であることを表現しました。
Bプログラム: 子育て支援シンポジウム 2007 in埼玉
「豊かなかかわりを育むコミュニティの再生と子育て支援」
開催日時:2007年9月1日(土) 13:00〜15:00
会場:国立女性教育会館 110研修室
主催:日本女性学習財団
- 人間関係が希薄になった地域社会は、解決しなければならない多くの課題を抱えています。特に子育てにおいては、“かかわりの貧しさ”が子どもの成長にさまざまな影響を与え、子どもの育ちに対する危機感が募っています。本シンポジウムは、子育て環境の整備を通して、男女共に自分らしく生きられる自立と共生のコミュニティ再生をテーマに実施しました。
- 3人のシンポジスト(田代和美さん・岩川直樹さん・渡辺美恵子さん)による「関係づくり」の物語は具体的でわかりやすく、次の一歩を踏み出す力が与えられたという声がたくさん届きました。
「現在の子どもたちは水のなくなった池で泳がされている鯉と同じ」「関係の編みなおしはケアの三角形の好循環が必要」「『聲』は声を出す、聴くという相手との関係を表現したもの」「手と手をとって、ゆっくり行こうねという“ほんわかな風”を大切に」など、シンポジストの言葉は参加者の心に響きました。
シンポジストの話の後は、グループごとに意見交換タイムをとり、関係の編みなおしに向けて具体的にどのようなことができるかについて話し合いました。
Cプログラム: 子育て支援者パワーアップセミナー 2007 in東京
かかわりを編みなおす支援とは
開催日時:2007年11月26日(月) 10:00〜17:00/ 11月27日(火) 10:00〜16:00、13:00〜15:00
会場:日本女子会館(講義室・会議室)/メルパルク東京 会議室
主催:日本女性学習財団
- 冊子『むすんでひらいて 編みなおして』を活用した本セミナーは、絵本の読みあいなどユニークなワークを組み入れたプログラム構成で、「関係づくりの視点」を体験的に学び、子育て支援の資質向上をめざしました。冊子作成にかかわった田代和美さん・岩川直樹さん・村中李衣さん・渡辺美恵子さんの4人の方々に、講義やワークを担当していただき、2日間のセミナーは密度の濃い内容・展開となりました。
1日目:午前
●岩川さんの講義
ケアしケアされる関係を広げていくことが今最も求められていること(ケアの三角形の好循環)を学びました。
●渡辺さんの実践報告
水平な関係を大切にしている渡辺さんの実践は、寄り添い支え合う「支援」の指標となるものでした。
1日目:午後
●出会いのワーク
目隠しして、互いの声だけを頼りに相手を探すワーク。相手に出会うまでの不安と出会った喜びを体験し、参加者全員の距離が一挙に縮まりました。
2日目:午前
●編みなおしのワーク
宿題で出された「編みなおしの物語―私の場合」の作文を、グループに分かれて語り合い聴き合いました。「書くことを通して、自分自身の過去をふり返り編みなおすことができた」「自分の物語を聴いてもらったことで、編みなおしのきっかけが得られた」など、書くこと・語ることが、編みなおしを引き出すきっかけとなりました。
2日目:午後
●読みあいのワーク
前日に出会ったペアで、お互いが選んだ絵本を読みあうワーク。読後は、それぞれ読みあいシートに感想を書いて交換。その後、「出会いのメッセージ」として相手へのラブレター(心を寄せる手紙)を書きました。手紙を交換し合い、思わず抱き合う感動的な場面も見られ、参加者一人ひとりがつながる喜びを体験することができました。
プログラム
内容 | 時間割 | 担当 | 内容 | ||
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1日目 | 午前の部 | 開会 | 10:00〜10:10 | 挨拶 オリエンテーション |
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講義 かかわりの中で育まれる力―ケアの三角形 |
10:10〜11:00 | 岩川直樹 | |||
事例報告 水平な関係を紡ぐ‘おばちゃんち’ |
11:00〜12:30 | 渡辺美恵子 | ビデオ視聴 「子育て交流ルーム 品川宿おばちゃんち」 |
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昼休み | 12:30〜13:30 | ||||
午後の部 | グループワークT ○出会いのワーク |
13:30〜16:30 | 村中李衣 | ||
1日目のふり返り・閉会 | 16:30〜16:50 | ふり返りシート記入 | |||
休憩 | 16:50〜17:00 | ||||
交流会 ハート型メッセージカード |
17:00〜18:00 | 参加者,関係者との自由な交流の場をつくる カードにメッセージを書いてそれをつなぎあう。つないだカードは、会場の壁に飾る |
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2日目 | 午前の部 | 開会・1日目のふり返り | 10:00〜10:10 | 第1日目のふり返りシートのまとめを配付して、気づいたことを伝える | |
グループワークU ○編みなおしのワーク |
10:10〜11:00 | 財団職員 | |||
講義 関係づくりを育む子育て支援とは |
11:00〜12:00 | 田代和美 | |||
昼休み | 12:00〜13:00 | ||||
午後の部 | グループワークV ○読みあいのワーク |
13:00〜15:10 | 村中李衣 | ||
2日間のふり返り・まとめ | 15:10〜15:50 | ふり返りシート記入 | |||
閉会 | 15:50〜16:00 | アンケート記入 |