理事長あいさつ
経験に学び未来を拓く ― 財団80周年に寄せて
2021年3月3日
公益財団法人 日本女性学習財団 理事長 村松泰子
東日本大震災から10年目、そして新型コロナウィルス感染症の拡大がいつ収束するのか不透明なこの3月、公益財団法人日本女性学習財団は設立80周年の節目を迎えました。
10年前の原発事故も、今回のコロナ災害も目に見えない不安・恐怖という点で共通しています。原発事故の後始末には膨大な時間がかかりますが、それでも一歩ずつは解決に近づくと考えたいものです。コロナ災害は、容易に収束の見通しがつきません。どちらの災害も、一応の収束をみたとしても元の社会には戻れませんし、元と同じ社会をめざしたのではいけないでしょう。原発に頼らないエネルギー源を考えたとき、私たち自身の生活を変えなければならないと気づいたのでした。昨年来の事態は、効率を求め、経済的繁栄をめざし、都市化を進めてきた道が間違っていたことを、私たちにつきつけました。これを機に、進むべき方向を見直し、持続可能な社会に向け再出発しなければなりません。2015年に定められたSDGs(持続可能な開発目標)の達成期限まであと10年しかありません。
コロナ災害はもともとあった男女の格差や女性の人権侵害などを、より鮮明にしました。SDGsの大きな核であるジェンダー平等のゴールに関しては、ほかの多くのゴールのターゲットが2030年までと期限を切っている中で、時限が書いてありません。これは30年までとは言っていられず、すぐに着手すべきだからだということです。しかし日本の政治の取組は、この問題に関してほんとうに悠長です。若い世代にとっては、これからの自分たちの生きる社会をどうすべきなのかは、切実な問題です。上の世代が経験し学んできたことを着実に若い世代に伝えるとともに、若い世代の方たちからの発信を受け止めていくことが必要です。
80周年を迎えた財団も、今年はポストコロナの社会に向けての再出発の年とし、世代を超えた対話の場を含め、学び合う場をさらにつくっていきたいと思います。
男女共同参画社会の実現に向けた財団事業のさらなる充実のため、賛助会員制度(個人・法人)を設けています。財団の使命・活動にご賛同くださり、財団につながる人の輪に加わってくださる皆さまに賛助会員になっていただければ幸いです。
目的
公益財団法人日本女性学習財団は、男女共同参画社会の形成に資する生涯学習及び次世代育成の振興に寄与することを目的としています。
この目的を達成するために次の事業を行っています。
- 女性の生涯学習及び次世代育成に関する研究、調査の実施
- 女性の生涯学習及び次世代育成に関する人材育成事業
- 女性の生涯学習及び次世代育成に関する情報の提供
- 女性の生涯学習及び次世代育成関係諸団体との連携及び支援
- 日本女子会館建物の賃貸事業
- その他目的を達成するために必要な事業
事業を遂行する上で、当財団は、政治的・宗教的に中立であること、特定の政党や宗教的な活動に加担しないことを方針としております。
沿革
本財団は、1941(昭和16)年3月に財団法人日本女子会館として設立され、1945(昭和20)年2月に財団法人社会教育会と合併し財団法人大日本女子社会教育会に、また1972(昭和47)年3月には財団法人日本女子社会教育会に、2002(平成14)年4月には財団法人日本女性学習財団と改称し、2011(平成23)年4月に公益財団法人に移行し、現在に至っています。
- なお、本財団が管理運営する日本女子会館は、1937(昭和12)年当時、大日本聨合女子青年団と大日本聨合婦人会の会員による拠出金、皇室・各宮家からの御下賜金等により建設されたもので、各種講習会場、宿泊施設・結婚式場として活用してきました。
- その後、時代の変遷を経て、1974(昭和49)年に現在のビルに改築し、会館運営を行いつつ、各種事業を実施しています。
- パネル「日本女性学習財団 70年の歩み」を作成しました。
財団法人 日本女性学習財団の70年の足跡を写真や図などで辿るパネル。