2010APEC女性リーダーズネットワーク会合分科会実施報告
開催日時:2010年9月20日(月・祝)14:00〜16:00 *全体会合は、9月19日(日)〜21日(火)で開催
会場:京王プラザホテル(東京都新宿区)
分科会テーマ:人材育成・教育「女性の生涯にわたるキャリア開発を支える教育システム」
パネリスト:(敬称略,発言順)
○入江 直子(神奈川大学人間科学部教授) *コーディネーター
○萩原 貴子(ソニー株式会社人事部門ダイバーシティ開発部統括部長)
○エレナ・フェダヤシナ (ロシア・The Committee of 20事務局長)
○イ・ビョンジュン (韓国・釜山大学教育学部教授)
○パトリス・ブラウン (オーストラリア・バララット大学地域革新競争センター部長)
○三輪 建二 (お茶の水女子大学大学院人間文化創成科学研究科教授)
- APEC女性リーダーズネットワーク会合(WLN)は、男女共同参画社会実現のために、女性たちの経済活動の発展に寄与することを目的として、毎年APEC議長国で開催される会合です。1996年にフィリピンで開催されて以来、経済界・学界・行政・民間団体等から女性リーダーが300〜500名参加し、経済活動における女性の活動への意見交換を行ってきました。第15回を迎える2010年は、日本での初めての開催となり、9月19日〜21日の3日間にわたり開催。約600人の参加を得ました。
- 全体テーマは「女性による新たな経済活動の創造−人・自然・文化を活かす」。基調講演、パネルディスカッション、6つの分科会(経営参加,人材育成・教育,科学・技術分野,農山漁村,ニュービジネス,地域経済)で議論を行い、最終日には、APEC首脳および閣僚に対し、「組織における女性のキャリア構築」「人・自然・文化を活かした女性による起業の実現」「女性のための新たな経済機会の創出」の3点を柱とする提言をまとめました。
- (財)日本女性学習財団では、2日目に「人材育成・教育」分科会を担当し、「女性の生涯にわたるキャリア開発を支える教育システム」をテーマに、国内3名(うち1名はコーディネーター)・海外3名(ロシア・オーストラリア・韓国)のスピーカーによるパネルディスカッションを行いました。
- 2時間のパネルディスカッションでは、前半1時間は、コーディネーターから女性の経済参画を阻む問題として@システムの問題、Aジェンダーの問題が挙げられた後、各スピーカーから10分ずつ、企業・非営利団体・地域・大学などそれぞれの立場から、女性のキャリア開発に関する課題や取組について報告いただきました。後半は、各スピーカーが補足やまとめを行ったあと、フロアとの質疑応答を行いました。
- フロアからは10名ほどの質問者が立ち、「大学への職業能力開発プログラム導入の成果について」「女子高生の働くイメージと教育の影響について」「育児休暇をとったあとのキャリアプランについて」などの質問が出され、スピーカーとやりとりを行いました。
- 3日目には分科会の成果報告が行われました。分科会2からはコーディネーターの入江氏が登壇し、@システムの問題に対しては、「第三段階の教育(Tertiary Education)」(初等・中等教育に続く教育)を、職業教育を軸に再定義し、生涯にわたるキャリア開発を支えるシステムに改革していくこと、Aジェンダーの問題には、女性の職業能力開発におけるエンパワーメントの重要性が示され、そして、産業界・教育機関・地域社会が連携してシステムを開発し、女性のキャリア開発を支えていくことがまとめとして提示されました。
- アンケートでは、8割強の人が「たいへんよかった」「よかった」と述べ、満足度の高さが伺われました。自由記述では、各国の具体的な取組や意見が聞けたことへの評価が多かったほか、「親として、職業をもつ女性として、生涯教育の必要性を実感」「女性の働きがますます重要になっていく様子が感じられた。教育について再考する必要があると感じた」など、女性のキャリア開発を支える教育システムの必要性を再認識する声も多く寄せられました。
- 当日は、グラフィックファシリテーターのやまざきゆにこさんが、会場後方で、議論の流れを描く「グラフィックファシリテーション」を披露しました。13枚に描かれた「グラフィック」では議論の流れと共に、女性が置かれている現状や課題、そして今後進むべき方向なども描かれました。帰りにカメラに収める参加者の方も多く、関心の高さもうかがわれました。描かれたグラフィックはこちらから!
*詳細は、月刊We learn11・12月合併号に掲載!
*当日の動画や資料はAPECWLN公式ページでご覧いただけます。
200名近い参加があり、
熱気にあふれた会場
登壇するパネリストとコーディネーター
グラフィックを描くやまざきゆにこさん
グラフィックをカメラに収める参加者